日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-042
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3. 社会・文化
準拠集団への帰属意識がもたらす認知の歪み
*佐山 公一
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抄録

有名大学には,極端に自分に自信のない学生がいる。そうした学生に,なぜ自信がないのか聞いてみると,優秀なまわりの人と比較した結果であることに気がつく。平均的な集団から見れば,良い成績をとっているにもかかわらず,自分はできない人間と判断する。過小評価は認知の歪みの1つであり,そうした人は過小評価以外の認知の歪みをも生じさせる。

大学への帰属意識が,自身の過小評価や認知の歪みをどう作りだすのか。優秀な人からなる集団にいても,この集団以外に,準拠集団を作ることによって,認知の歪みの程度を緩和させるかもしれない。本研究の目的は,準拠集団の関係やあり方に,認知の歪みに関わる何らかの一般的な傾向が大学生にないかどうかを,共分散構造分析を行い,探索的に調べた。404人の大学生に対する質問紙調査の結果,大学へ帰属意識から認知の歪みへの有意なパス係数(.141, p<.03)が見いだされた。現在,準拠集団(大学)への帰属意識の程度が,認知の歪みを強めるかどうか。また,大学の中や外の準拠集団の数が多いほど,集団間の比較が可能になり,認知の歪みが弱まるかどうか,を詳しく分析している。

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