日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-105
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3. 社会・文化
愛着不安と恋人支配欲求とがDaVに及ぼす影響
*荒井 崇史金政 祐司
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抄録

未婚の交際関係にある二者間で反復的に生じる暴力をデート暴力(Dating Violence:DaV)という。欧米では古くからDaVのリスク要因が探求されてきたが,日本での研究は多くない。そこで,荒井・金政(2019)では,Davis et al(2000)などに基づき,愛着不安が恋人支配欲求を介して間接的暴力を促す媒介過程を検証した。しかし,荒井・金政(2019)ではサンプルサイズが小さく,結果の安定性に不安があった。そこで,本研究ではサンプルサイズを増やした上で新たに縦断調査を行い,愛着不安が恋人支配欲求を介して間接的暴力を助長する媒介過程を検証した。具体的には,第一波で約6,000名を対象に調査実施し,4ヶ月ごとに3回調査を行った。なお,本研究では第三波までのデータについて分析を行った。分析の結果,男女とも,愛着不安から間接的暴力への直接効果が有意であったが,恋人支配欲求を媒介変数として投入した場合,愛着不安から間接的暴力への直接的な影響は減衰した。一方,愛着不安は恋人支配欲求を媒介し,間接的暴力を促していた。以上の結果から,交際関係での暴力の発生メカニズムについて議論を行った。

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