日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-115
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3. 社会・文化
虚偽に関する顕在的信念の差異は存在するのか―猜疑心と主観的な手がかりに対する確信度に着目して―
*滝口 雄太石橋 加帆岩本(大久保) 慧悟桐生 正幸
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抄録

人は嘘をついていることがわかると考えるときにどのような手がかりを捉えているのだろうか。Global Deception Research Team (2006) は,虚偽の手がかりに関する信念とこれらの信念の文化的差異を検討した。しかし,この研究では手がかりに関する信念が虚偽検出における個人差を説明するところまで検討されていなかった。そこで,本研究は虚偽の手がかり信念を再検討し,新たに手がかりに対する確信度や報告者の持つ猜疑心との関連を調べた。287名の大学生により報告された477個の手がかりをコーディングした結果,視線を回避するという手がかりは30%以上の回答者に報告され,最もアクセシビリティの高い信念であることが明らかになった。発言の一貫性や姿勢変化も多くみられた手がかりであったが,先行研究とは異なって観察されたのは印象の良さであり,確信度も高かった。他者に対して抱いている疑い深さによって着目される手がかりに差がみられるわけではなかったが,各手がかりに対する確信度を目的変数とした重回帰分析の結果,猜疑心の負の影響が示された。懐疑的な態度を持っていることは,手がかりを盲目的に信じているわけではないと考えられる。

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