主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
現在,多文化共生社会構築に向けた議論が必要とされている。本研究では,自他文化差異の受け止め方をめぐる集団間イデオロギー(マルチカルチュラリズム,カラーブラインドネス,同化)だけでなく,地球規模の視点であるグローバルシティズンシップを導入し,これらと社会参加の関連について探索的に検討した。
日本人社会人450名を対象に質問紙調査を実施し,集団間イデオロギー(Levin, et al., 2012),グローバルシティズンシップ(Reysen & Katzarska-Miller, 2013)及び社会参加への頻度(慈善団体の活動,コミュニティ活動等)を7件法で評定を求めた。
社会参加を目的変数,集団間イデオロギーとグローバルシティズンシップを説明変数とする重回帰分析(強制投入法)の結果,カラーブラインドネスは社会参加抑制要因として働く一方(β=-.12, p<.05),多文化主義(β=.19, p<.001)とグローバルシティズンシップ(β=.23, p<.001)は社会参加促進要因であることが見いだされた。このことから,自他集団を承認し,市民性を発揮しようとする価値観は,自らの市民的行動を促し,それが個人のウェルビーイングにも貢献することが示唆された。