日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-144
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3. 社会・文化
中国人の一般的信頼はなぜ高いのか―「誰を想起して回答したのか」による日中比較―
*林 萍萍
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抄録

これまで実施された複数の大規模な国際比較調査から,中国人が一般的信頼を高く報告する結果が繰り返し得られている。「たいていの人は信頼できるか」と聞かれた場合,中国人は周囲の人を想起しながら回答するとすれば,その高い一般的信頼が解釈できる(吉野・大﨑,2013)。そこで,本研究では,「誰を思い出しながら回答するのか」に着目し,一般的信頼について日中比較を行った。日本人128人と中国人155人を対象に,一般的信頼に関する3項目および信頼の互恵性(「他人を信頼すれば,他人からの信頼も得られる」など)を評定してもらい,「人間一般」「友人・知人」「親兄弟親戚」などの8項目から,「想起した人」を選択してもらった。その結果,中国人は日本人よりも高い一般的信頼を報告していること,中国(41.9%)は,日本(21.1%)より,「親兄弟親戚」を想起した人の割合は高いことがわかった。一般的信頼の文化差における「想起した人(親兄弟親戚を含む場合は1,それ以外0)」と「信頼の互恵性」の媒介効果を検討したところ,2つの要因とも媒介効果が有意であった。ただし,これらの媒介効果を考慮しても一般的信頼における日中文化差は依然と有意であった。

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