日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PC-154
会議情報

3. 社会・文化
感謝の表出とその表出者の主観的幸福感の関連―経験サンプリング法を用いた検討―
*前田 楓平本 千尋橋本 博文
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

先行研究においては,感謝が向社会的行動を促進する等の感謝がもたらす肯定的な影響が明らかにされている(蔵永・樋口,2013)。本研究の目的は,感謝を感じることだけでなく,それを表出することで,感謝表出者の主観的幸福感が高まるか否かを検討することにある。この目的をかなえるため,本研究では,感謝伝達の教示の有無等を操作する条件を設定し,経験サンプリング法を用いて3週間にわたり調査対象者の幸福感を測定する調査を実施した。条件は,1)毎日1回以上他者に感謝をし,それを相手に伝えるよう教示する感謝(伝達教示あり)条件,2)毎日1回以上感謝をするが,それを相手に伝える必要はないと教示する感謝(伝達教示なし)条件,そして3)統制条件の3条件であった。調査の結果,感謝をするよう教示した2つの条件間で感謝を伝えた割合に差が示されなかった。そこで両条件を統合し,感謝を伝えた割合が50%を超えた対象者を感謝高伝達群,50%を超えなかった対象者を感謝低伝達群とし再分析を行った。その結果,感謝高伝達群においては幸福感が上昇する傾向が示される一方で,感謝低伝達群では幸福感に変化は示されなかった。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top