日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-015
会議情報

4. 臨床・障害
心理職のバーンアウトに影響する諸要因の検討―決定木分析を用いて―
*近藤 孝司後藤 和史
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究の目的は,決定木分析を用いて心理職のバーンアウト傾向に影響を与える要因を分析することであった。デモグラフィック要因,ストレッサー尺度,バーンアウト尺度などで構成された返送式の調査票を臨床心理士に配布し,回答のあった456名(男性101名,女性355名)を分析対象とした。平均年齢は41.2歳(SD±12.2歳)であった。経験年数6年目を境に各尺度に有意な差異が認められたため,初心群(5年未満)と中堅・熟練群(6年以上)に分けた。デモグラフィック要因とストレッサーを独立変数,バーンアウト3因子を従属変数とする決定木分析の結果,情緒的消耗感と脱人格化に対して,初心群ではストレッサーが影響を与えていたが,中堅・熟練群ではその他に育児経験のなさが影響を与えていた。個人的達成感の減退に対しては,両群とも仕事満足感が強い影響を示し,中堅・熟練群では個人的なカウンセリング経験のなさが影響を示した。これらの結果は,経験の蓄積とともに職業生活と個人生活の関係性が密になっていくことを示しており,心理職のメンタルヘルスを考える際,心理職の個人生活を視野に入れる必要性を示唆している。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top