日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-016
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4. 臨床・障害
中高年の死別経験と故人に関する不随意記憶(3)―配偶者との死別における継続する絆の性差と死別対象間の違いの検討―
*田上 恭子山中 亮
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抄録

本研究は故人に関する不随意記憶の想起における性差及び死別対象間の違いの検討から故人との継続する絆の様相について明らかにすることを目的とし,40-79歳の成人を対象としたWeb調査を実施した。倫理的配慮等から,調査は2段階に分け,調査1では基本属性,死別経験の内容,日本語版Continuing Bonds Scale (CBS),記憶に関する調査2への協力の可否などを,調査2では故人に関する不随意記憶の想起頻度,想起時の感情,想起時の主観的体験などを尋ねた。有効回答は配偶者との死別者168名,親との死別者182名であった。2要因分散分析の結果,CBS及び喪った配偶者に関する不随意記憶では性差は認められなかったが,親との死別と比較すると,男性は女性と同程度に喪った配偶者をより頻繁に想起し,良い印象の記憶を,ポジティブ感情を伴って想起することが示唆され,これらが男性の配偶者との死別への適応に関連している可能性がうかがわれた。また全般的に,喪った配偶者との絆は強く,故人を頻繁にリアルな体験として情緒的に想起することが示唆され,このような想起の特徴は適応的ではない絆を示している可能性が考えられた。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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