主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
多くの高齢詐欺被害者が,詐欺的勧誘後に誰にも相談しないことがこれまでの調査からわかっている。本研究では,社会的スティグマとセルフスティグマの2つのスティグマが,詐欺的勧誘時の相談行動に負の影響を与えるという仮説の検討を行った。具体的には,Vogel, et al. (2007) を元に,社会的スティグマがセルフスティグマを強化し,セルフスティグマが相談抑制要因を媒介し相談行動に負の影響を与えるモデルの検証を行った。調査は,詐欺的勧誘等を受けたことがある首都圏在住の高齢者300名(65歳以上,男女各150名)を対象に,クローズ型のウェブ形式で行った。研究1では,相談抑制傾向の独自の尺度を検証することにより仮説モデルを検討し,研究2では再度モデルを検証した。その結果,仮説モデルは支持され,社会的スティグマとセルフスティグマは,相談抑制傾向を介した相談行動に負の影響を及ぼすことが示された。スティグマは,詐欺的勧誘後の相談を抑制する重要な因子であり,スティグマを減少させることは詐欺被害を防止するために不可欠であることが示唆された。
※本研究は,JST,RISTEX,JPMJRX17G1の支援を受けたものである。