日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-031
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4. 臨床・障害
アレキシサイミア空間からみた大学生年代のマンガ・小説体験
*後藤 和史吉本 綾永井 靖人
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抄録

【目的】本研究では,マンガと小説に関する体験をアレキシサイミア空間(後藤,2012)に布置することを試みた。【方法】参加者と手続き:大学生などを対象にGoogle Formsを用いたウェブ調査を行い,147名(女性111名,男性33名)のデータを分析に供した。質問紙構成:(1)物語体験(LRQ-J; 小山内・岡田,2011):各因子の因子係数の高い3項目ずつを抜粋して用いた。マンガバージョンは文脈に即して一部の表現を変更した(例「小説」→「マンガ」)。(2)マンガ・小説の選好性:よく読むジャンル・キーワードを訊く形式。(3)アレキシサイミア傾向(Galex; 後藤ら,1999):感情認識言語化困難と空想内省困難から測定。【結果と考察】アレキシサイミア傾向が読書頻度に与える影響を検討することを目的として重回帰分析を行った。その結果,感情認識言語化困難と空想内省困難がともに強いと,マンガ,小説ともに読書頻度が減る傾向が見いだされた。また,マンガと小説の物語体験に与える影響を検討することを目的として重回帰分析を行った結果,マンガでは空想内省困難が「作者への関心」「現実の理解」「ストーリー志向」を弱める影響を与えていた。

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