日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-040
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4. 臨床・障害
嫌悪感の音響同調は面接者の社会不適応を予測する―機械学習を用いた感情分類機とその音響同調測定―
*横谷 謙次高木 源若島 孔文
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抄録

音響同調の研究には不一致がある。ある研究では,音響同調が社会適応を予測するのに対し,別の研究では音響同調が社会不適応を予測する。本研究では,この不一致を解消すべく,音響を肯定的・否定的な感情に分類する。我々の仮説では,肯定的な感情を伴う音響同調は社会適応を予測するのに対し,否定的な感情を伴う音響同調は社会不適応を予測するだろう。

まず,RavdessとSaveeのデータベースを機械学習させ,音響特徴に基づく感情分類器を作成した。感情分類機は,発話中の怒り,嫌悪,恐怖,幸福,中立,悲しみを0.9090の正確度で推定した。次に,包括的な精神科構造面接から録音された29名の対話を用いた。また,(非)同調を推定するためにJensen-Shannon Divergence (JSD) を用いた。

その結果,幸福感情への同調は,参加者のセラピストへの信頼を有意に示すことが示された。一方,嫌悪感の同調は,社会的不適応を有意に示した。

本研究では,機械学習の感情分類機を使うことによって,感情を伴った音響同調が推定できることを示した。また,肯定的な感情の音響同調は社会適応的であるが,否定的な感情の音響同調は社会不適応的であるということも示した。

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