日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-156
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4. 臨床・障害
モバイルアプリケーションによる生態学的瞬間評価法を用いた活動記録に関するランダム化比較試験―プロンプトの有無による活動記録記入率の違い―
*田邊 雅子高階 光梨金山 裕望大前 杏織金平 菜七子上田 紗津貴佐藤 寛
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抄録

近年,モバイルアプリケーション(以下,アプリ)を用いた認知行動療法の有効性が示され(Huguet, et al., 2016など),遠隔のアセスメントツールへのニーズも高まっている。本研究では,アプリを用いた生態学的瞬間評価法による活動・気分の記録において,プロンプトの有無による記入率の差異を検討することを目的にランダム化比較試験を行った。参加の同意が得られた大学生22名を,プロンプト有り群(男性3名・女性6名)・プロンプト無し群(男性1名・女性12名)に無作為に割り付けた。両群の参加者に対して,7日間,8時~20時まで1時間おきにPersonal Analytics Companion (PACO) のアプリを用いて活動と気分を記録させた。プロンプト有り群にのみ毎回通知音かバイブレーションによる通知を行った。プロンプト有り群9名とプロンプト無し群10名を分析対象とし,記入率を対応のないt検定を用いて比較したところ,2群の記入率に有意な差は見られなかった(t(17)=-1.32, n.s.)。一方,プロンプト有り群では記入率50%以下の参加者はいなかったが,プロンプト無し群では4名が記入率50%以下であった。今後は従来用いられてきたアセスメントツールとの比較検討が必要である。

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