主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
近年,モバイルアプリケーション(以下,アプリ)を用いた認知行動療法の有効性が示され(Huguet, et al., 2016など),遠隔のアセスメントツールへのニーズも高まっている。本研究では,アプリを用いた生態学的瞬間評価法による活動・気分の記録において,プロンプトの有無による記入率の差異を検討することを目的にランダム化比較試験を行った。参加の同意が得られた大学生22名を,プロンプト有り群(男性3名・女性6名)・プロンプト無し群(男性1名・女性12名)に無作為に割り付けた。両群の参加者に対して,7日間,8時~20時まで1時間おきにPersonal Analytics Companion (PACO) のアプリを用いて活動と気分を記録させた。プロンプト有り群にのみ毎回通知音かバイブレーションによる通知を行った。プロンプト有り群9名とプロンプト無し群10名を分析対象とし,記入率を対応のないt検定を用いて比較したところ,2群の記入率に有意な差は見られなかった(t(17)=-1.32, n.s.)。一方,プロンプト有り群では記入率50%以下の参加者はいなかったが,プロンプト無し群では4名が記入率50%以下であった。今後は従来用いられてきたアセスメントツールとの比較検討が必要である。