主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究は,性犯罪の発生に関連する環境要因の組合せを見出すとともに,同じ対人犯罪である強盗との比較を行うことを目的とした。研究対象地域は東京23区であり,事件のデータとして,2009年から2017年の間に発生した,路上における性犯罪(強制性交等及び強制わいせつ)(n=1446)及び路上における強盗(n=1032)の犯行地点の住所情報を,環境要因のデータとして,7種類の目標物(駅,バス停,公園,コンビニ,ファストフード店,銀行・ATM,パチンコ店)の住所情報を使用した。分析では,各事件の犯行地点の 200 m以内に環境要因とした上記の目標物が含まれるか否かを調べ,その後,環境要因の組み合わせを検討した。分析の結果,性犯罪について,最も多くの事件が含まれる組合せは,公園のみが該当,他の要因は非該当というものであり,上位10番目の組合せまでに約6割の事件が含まれた。また,性犯罪と強盗における,環境要因の組合せについて順位相関係数を求めたところ,ρ=.86 (p<.001)であった。これらから,発生場所が路上の場合,多くの性犯罪は環境要因の比較的少数の組合せのもとで発生すること,組合せの順番は強盗との相関が高いことが示唆された。