主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
複数の刺激からなる画面の統計的特徴を捉えるアンサンブル知覚を調べるために,平均値判断がよく用いられている。平均値は人の直感によく合致した統計量であることが期待されるが,実際に他の代表値と明確に区別して判断がなされているのかは明らかではない。本研究では,平均値に加えて,中央値の判断を求めた。画面の左右に12個ずつの円を提示し,平均値または中央値が大きい群はどちらかを回答することを求めた。平均値と中央値のずれが大きくなる条件として,各円刺激の大きさの分布が正規分布をなす場合と大きいサイズもしくは小さいサイズに偏りがある場合を設けた。実験の結果,正答率やJNDは平均値判断と中央値判断で明確な違いを示さなかった。一方,判断の種類にかかわらず,小さい刺激が多い条件のほうが大きい刺激が多い条件よりも成績が低くなることがわかった。参加者は平均値と中央値をある程度区別して判断していることが示唆された。また,その判断は刺激特徴の分布に影響を受けるものと見られるが,判断過程というよりは知覚過程における効果であると推測される。