主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
時間制限や情動喚起によるチョーキング状況が認知制御を妨害することが報告されている(Beilock & Carr, 2001等)。本研究では,認知制御の二重メカニズム(Braver, 2012)の観点から,時間制限によるチョーキングによるプロアクティブ・リアクティブ制御への影響をAX-CPT70 を用いて若年者対象のオンライン実験で検討した。実験1(43名)では,チョーキングの誘発としてCue-ProbeのISIが5sのSingle条件ブロックの後,5sと 1s のISIがランダムなMix条件ブロックがでる課題リズムの揺れを設定された。この手続きでは,長ISI(5s)に慣れた後,突然出てくる短ISI(1s)でチョーキングが生じる。実験1の結果,偽試行(AY,BX試行)においてmix条件の1s試行での正答率低下が認められた。実験2(32名)では,Single条件ブロックのISIを 1s とする以外は実験1と同様の手続きを用いた。実験2の結果,AY,BX試行ではmix条件の 1s と 5s 試行の間に正答率の違いは認められなかった。以上からは,課題リズムの揺れによってチョーキングが誘発されること,チョーキングによる主たる目標情報(AX反応)が,頑強に維持・出力されるというプロアクティブ・リアクティブ制御の妨害効果が示唆された。