日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PI-028
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9. 認知
課題リズムの揺れに伴うチョーキングと認知制御の二重過程(2):高齢者の場合
*原田 悦子須藤 智鷹阪 龍太安久 絵里子
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抄録

須藤ら(2020)は大学生を対象として,認知制御の二重過程の検討のためのAX-CPT70課題(Braver,2012)を用いて,cue-probe間ISIに課題リズムの揺れがある場合を検討し,長ISI (5s) での試行に慣れた後,短ISI(1s)が突然提示されると,偽試行であるAY,BXに正答率低下がみられたことを報告している。認知制御機能は加齢による影響を大きく受けるとされることから,この課題リズムの揺れに伴うチョーキング現象と認知的加齢の関係性を明らかにするため,同様の実験を健康な高齢者16名(男女同数,平均69.38歳,SD 5.32, MMSE 27以上)を対象として行った(ただし長ISIを3s,短ISIを1sに変更;実験室にて実施)。その結果,1)高齢者の正答率は極めて高く,チョーキングの影響は見られなかったが,2)反応時間において,特にBX試行での反応がリズムの揺れの結果として延伸することが示され,3)同様の結果は短ISI試行に「慣れた」後,課題リズムの揺れがある状態での短ISI条件でもBX,BY試行において見られた。課題リズムの揺れによるチョーキングは年齢に関わらず認知制御に影響しているが,その表れ方には加齢による変化が見られたと考えられる。

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