主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
感情次元の情報をもつ幾何学図形を用いることで,様々な課題の成績が変容することが報告されている。竹島(日本心理学会2017)は,円形の視覚的短期記憶容量が逆三角形よりも大きくなることを見出している。この視覚的短期記憶容量の違いは,円形がポジティブに,逆三角形がネガティブに評価されることが関与していると考えられる。しかし,この研究では幾何学図形の形態の冗長性の違いが関与している可能性を排除し切れていない。そこで,幾何学図形の感情価に加えて「良さ」による冗長性の評定を行い,記憶容量の比較を行うことでこの点の検討を行なった。実験では,円形,逆三角形,三角形,正方形の4種類の幾何学図形を用い,変化検出課題による記憶容量の測定を行った。その後,SD法による感情次元と冗長性の評定を行った。その結果,円形の記憶容量は逆三角形および正方形よりも大きくなっていた。感情価についても,円形は逆三角形および正方形よりもポジティブに評価されていた。一方,円形の冗長性は逆三角形よりも高くなっていたが,正方形とは同程度であった。したがって,幾何学図形間の記憶容量の違いは冗長性ではなく感情価の評価と対応することが示された。