主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
群集の視線方向といった社会情報のアンサンブル知覚は,社会場面において個体に適応的な行動を可能とする。単純な物理刺激(ガボールパッチ)と複雑な社会刺激(顔)を用いた複数のアンサンブル課題の反応を比較したHaberman, et al. (2015) では,アンサンブル知覚が領域一般的な単一のメカニズムによるものではないことが示唆された。しかし,刺激の複雑さと情報の性質(社会的か否か)が交絡しているという問題点がある。そこで本研究は,パレイドリア図形を用い,物理的特性が等価な社会刺激(∵)と非社会刺激(∴)を用いた群集の視線手がかり課題を行うことで,社会情報と物理情報のアンサンブル知覚の共通点・相違点を検討することを目的とした。実験計画は,刺激タイプ(パレイドリア顔・非顔・顔図形)×ターゲット方向を向くキューの数(0-5)×SOA(176/700 ms)であった(すべて参加者内)。従属変数は正反応時間であった。全セッションに参加した大学生96名のデータを分析した結果,3要因の交互作用は有意ではなく,刺激タイプによる特異的な反応はみられなかった。また,同様のパラダイムを用いたCapozzi, et al. (2018) の結果も再現されなかった。