主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
成長マインドセットとは,能力は努力により向上するという信念である。この成長マインドセットは比較的短時間の介入により獲得できる。その為,マインドセット介入は学力向上の鍵の一つとして教育現場での実践も増加している。しかしながら,このマインドセット介入が,日々の学習行動を支える心的メカニズムについては十分に検討されていない。そこで本研究では,成長マインドセットが学習行動に及ぼす影響の媒介要因(および調整要因)を検討した。この要因として,本研究では学習内容の価値を取り上げた。達成動機づけ理論では,ある内容の達成が個人にとってどのくらい価値があるかが,動機づけを高める。大学生423名を対象に質問紙調査を行ったところ,調整効果は認められず,成長マインドセットから平日・休日の勉強時間への正の効果は,学習内容の価値と習得目標(学習の理解・習得を目標とする)に媒介されるモデルが採択された。このことから,成長マインドセットによる学習行動の促進には,学習内容がどのように役に立つのかなどの教育を行うことが効果的と考えられる。