主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究は,さまざまな記憶場面状況での記憶のモニタリングとコントロールの機能を認知心理学的に評価しようとする総合的な研究の一環として行われた。本発表では,実験室場面における自由再生課題の成績とその予測と日常生活での時間的展望との関係を検討した。大学生(平均年齢20.3歳,範囲18-26歳)を対象に,実験室場面での自由再生課題とその予測に関する実験を行うとともに,同一の実験参加者にジンバルドー時間的展望尺度(ZTPI)への回答を求めた。ZTPIは,(a)過去否定,(b)未来,(c)過去肯定,(d)現在快楽,(e)現在運命の5因子から構成されていた。結果として,実験参加者ごとに(a)直後再生,(b)最終再生,(c)最終再生成績の予測値,のそれぞれの平均値を平均し,ZTPIの5因子ごとの得点との相関を求めたところ,直後再生成績とZTPIの「過去肯定」との間で有意な正の相関が,最終再生成績とZTPIの「過去否定」との間で有意な負の相関が見られた。これらの結果から,実験室場面での記憶成績の予測と時間的展望とは,全般的にほとんど関係がないことがが示された。