主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
同質な一連の項目の中に異質な項目が挿入されていると,その異質項目が記憶に残りやすくなるが(Restorff効果),同時に,異質な項目の直後に提示された項目については記憶成績が低下する現象(順向健忘)が知られている。異質項目によって注意が捕捉されるため,直後の項目についての記憶が損なわれる可能性が指摘されている。本研究では,異質項目の提示時間を一定(4秒)に設定し,前後に提示される同質項目の提示時間を変えた3条件(2秒,4秒,6秒)を比較した。感情価が中性的な写真を異質項目,無意味綴りを同質項目として用いた。提示された項目の自由再生を実験参加者に求めた。異質条件では中央の系列位置(8番目)に写真が提示された。48名の大学生が実験に参加した。実験結果は,写真の記憶成績が顕著に高くなるRestorff効果を示した。9番目に提示された無意味綴りの成績を異質条件と同質条件で比較すると,2秒条件では差が見られなかったが,4秒条件と6秒条件をまとめて分析すると異質条件で順向健忘が見られた。注意の捕捉が順向健忘と関連するならば,同質項目の提示時間が短い条件で順向健忘が顕著になると考えられるので,その予想に反する結果になった。