日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PM-019
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13. 情動・動機づけ
人工知能による情動的共感が認識した自律性支援に与える影響の可能性の検討
*江 聚名田中 あゆみ
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抄録

選択の自由や論理的な根拠を与え,ネガティブな感情にも共感するといった自律性支援は,たとえ人工知能が行っても学生に認識され,心理的欲求と学習意欲にポジティブな影響を与えることが可能であると示された(江・田中,2019)。しかし,人工知能は人間と同じような自律性支援を行っても,その自律性支援が認識される程度は人間より低く,学生の心理的欲求や学習意欲に与える影響も弱くなることが指摘されていた(江・田中,2019)。自律性支援のような他者を援助する場面では,他者の心的状態を推測する認知的共感と,他者の感情状態を共有する情動的共感が重要であると先行研究に示唆されていたが,これまでの自律性支援の研究では,相手のネガティブな感情を認めてあげるような認知的共感の要素しか検討されていなかった(Decety & Svetlova, 2012)。本研究では,大学生を対象に,留学生が装った人工知能とテレビ電話で英会話を行い,会話中に人工知能は対象者と同じ表情を示すか無表情かによって,認識された自律性支援に差があるかどうかを検討した。その結果,情動的共感を示した人工知能による自律性支援のほうがより認識されていたことが分かった。

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