日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PM-020
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13. 情動・動機づけ
絵画作品のスタイル学習が絵画作品に対する感性評価に与える影響に関する実験的調査
*方 思源田和辻 可昌松居 辰則
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抄録

本研究はゴッホとゴーギャンの作品を実験刺激とし,絵画作品のスタイル学習が作品に対する感性評価に与える影響を調査した。実験1では,美術非専門家22人がゴッホのスタイルとゴーギャンのスタイルの弁別学習を行ってから,両画家の作品30点のスタイル典型度と感性印象を定量的に評価した。実験2では,美術非専門家24人がスタイル学習をせずに実験1と同様の作品30点の感性評価を行った。実験1の結果として,ゴッホのスタイルの場合,作品のスタイル典型度が高いほどその作品の神経質度が高く,また,神経質度と作品への嗜好度の間に負の相関関係が認められ,典型度と嗜好度の間に負の相関関係が検出された。一方で,ゴーギャンのスタイルの場合,作品の典型度と神経質度の間に相関関係が認められず,典型度と嗜好度の間に相関関係は検出されなかった。実験2でも同様の心理関係が検出され,これらの心理関係がスタイル学習の有無とは関係なく,各スタイルの感性的特性に規定されていると考えられる。さらに,各感性評価尺度での評価データの分散に対する解析から,スタイル学習が作品に対する感性評価の個人間分散を小さくする効果があることが示唆された。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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