日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PO-026
会議情報

15. 発達
幼児は秘密を他者とどのように共有するか―幼稚園児を対象とした観察研究―
*塚越 奈美
著者情報
キーワード: 幼児, 秘密, 観察
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【問題と目的】秘密は情報の共有を通して「私」と「他者」を近づける一方で,情報の隠蔽はその距離を遠ざける(小此木,1986)。幼児期は秘密を理解しはじめる年齢であるとされるが,日常生活において子どもが秘密を扱う様子に関する報告は少ない。そこで,本研究では幼児が秘密をどのように扱っているのかを調べるために,幼稚園児を対象とした観察研究をおこなった。【方法】預かり保育を実施している幼稚園において,朝・夕の預かり保育の時間を中心に参与観察によるエピソード収集をおこなった。対象は年少児・年中児・年長児であった。収集されたエピソードのうち,観察者である大人とのやり取りにおいて,情報を隠したり,秘密やないしょという言葉を含んでいる21エピソードを分析対象とした。【結果】年齢ごとのエピソード数の内訳は,年少児1,年中児14,年長児6個であった。幼児は仲良くなるための手段として秘密を用いることが多く,情報を隠蔽する場合も他者との距離を遠ざける目的ではなく,情報の共有に至るまでの過程を楽しみ,他者と近づく目的で使用していることが確認された。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top