日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PO-033
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15. 発達
単身高齢者の孤独に関する表現の性差
*山崎 幸子村山 陽長谷部 雅美高橋 知也小林 江里香
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キーワード: 単身高齢者, 孤独感, 性差
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抄録

高齢者の孤独感は早期死亡の危険因子であるが,特に単身高齢者は同居者のいる高齢者よりも孤独を感じやすい。ところが男性高齢者は,性規範がスティグマとなり他者に援助を求めない傾向があるため,実際には孤独を感じつつもそれを表現していない可能性がある。そこで本研究では「孤独はない」としつつも,語りの中で寂しさなど孤独を感じていると思わせる表現について,その性差を明らかにすることを目的とした。方法:千葉県A市内の団地の単身高齢者34名(男性12名,女性22名,平均年齢81.6±6.3歳)を対象とし,約60分程度の半構造化面接を行った。面接内容は,孤独を感じる時,他者との交流頻度や内容,援助要請などに加え,質問紙にて基本属性,学歴,孤独感(1項目4件法)等を尋ねた。得られたデータは逐語化し,佐藤(2008)を参考に分析した。結果:質問紙調査項目で「孤独はない」と評定した対象者(男性8名,女性17名)のうち,女性は,面接中も孤独を語らなかったが,男性の場合は,面接が進むにつれ,食事をしているとき,天気が悪いときなど,ふとした際の寂しさが語りの中で表現された。以上から,男性は女性と比して婉曲的に孤独を表現することが示唆された。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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