主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
高齢者の孤独感は早期死亡の危険因子であるが,特に単身高齢者は同居者のいる高齢者よりも孤独を感じやすい。ところが男性高齢者は,性規範がスティグマとなり他者に援助を求めない傾向があるため,実際には孤独を感じつつもそれを表現していない可能性がある。そこで本研究では「孤独はない」としつつも,語りの中で寂しさなど孤独を感じていると思わせる表現について,その性差を明らかにすることを目的とした。方法:千葉県A市内の団地の単身高齢者34名(男性12名,女性22名,平均年齢81.6±6.3歳)を対象とし,約60分程度の半構造化面接を行った。面接内容は,孤独を感じる時,他者との交流頻度や内容,援助要請などに加え,質問紙にて基本属性,学歴,孤独感(1項目4件法)等を尋ねた。得られたデータは逐語化し,佐藤(2008)を参考に分析した。結果:質問紙調査項目で「孤独はない」と評定した対象者(男性8名,女性17名)のうち,女性は,面接中も孤独を語らなかったが,男性の場合は,面接が進むにつれ,食事をしているとき,天気が悪いときなど,ふとした際の寂しさが語りの中で表現された。以上から,男性は女性と比して婉曲的に孤独を表現することが示唆された。