主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究は中国農村部における育児環境と子どものアタッチメント安定性,社会情緒発達の関連性を探ることを目的とした。2020年1月に調査を依頼し,同意を得られた22名の1-2歳児(平均月齢は17ヵ月)の家庭を対象とした。事前説明をしたうえで家庭訪問を行い,親子普段の様子を観察し,ビデオカメラで記録した映像をもとにQ-sort法によりアタッチメントの安定性をコーディングした。養育環境を評定するため,Caldwell & Bradley (1984) により開発されたHOME inventoryを使用し,子どもの気質評定にはECBQ短縮版,子どもの社会情緒発達の評定にはCITSEA (Chinese version of Infant–Toddler Social and Emotional Assessment) を使用した。結果,気質のSurgencyとeffortful controlおよびアタッチメントの得点はCITSEA能力領域との間に正の相関がみられた。気質を制御した場合,HOMEにおける養育者の受容は子どもの外在化問題領域との間に負の相関がみられた。安定したアタッチメントと学習資料が整備されている場合,子どもの能力領域に良好な発達をもたらす可能性が示唆された。また,養育者の受容が子どもの外在化問題を回避する重要なポイントであることが示された。