主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
報酬分配における公正判断について,5歳児を対象に,課題(2)×教示(2:全部使って=全部,残してもよい=選択)×総報酬量(2:奇数,偶数)の実験を行った(課題1:N=44,課題2:N=43)。課題1で用いた総報酬量は19個,20個であり,課題2は15個,20個であった。参加児は,作業量の異なる登場人物2名(3個対9個)に呈示されたアメを分配するよう求められた。参加児が行った分配を,衡平分配(作業量多人物に多く分配),平等分配(等しく分配),逆転分配(作業量少人物に多く分配)の三つに分類した。課題による相違を確かめるためにχ2検定を行ったところ,課題よる違いは見出されなかった(全部20個:χ2(2)=1.66, p=.49;選択20個:χ2(2)=2.367, p=.34)。次に,課題ごとに条件差を分析した結果(McNemar-Bowker検定),両課題共に,全部20個条件対選択20個条件の間のみ有意でなく(課題1:χ2(3)=5.92, p=.12;課題2:χ2(2)=1.00, p=.61),それ以外の条件間においては有意な違いが見出された。これらの結果から,今後,実際に登場人物に分配した数との違いや反応時間との関係についても分析し,総報酬量が豊かなときの5歳児の公正判断について検討していく必要がある。