主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
ロボットは生物ではないが,完全な無生物と割り切るには,その外見や動きから難しい(Okanda, Taniguchi, Wang, & Itakura, under revision)。では,幼児はロボットに対し,人に見せるような気遣いを示すだろうか。
本研究では,ロボットが聞くロボット本人のポジティブな事項(ナオ[ロボットの名前],かしこい?など)やネガティブな事項(ナオ,泣き虫?など)について,3歳児と5歳児が反応バイアスを示すか調べた。その結果,3歳児はこれらの質問に肯定バイアスを示したが,5歳児は否定バイアスを示した。
3歳ごろまでの子どもは,質問者が誰であっても肯定バイアスを示すが(e,g., Fritzley & Lee, 2003; Okanda & Itakura, 2007, 2008; Okanda, Somogyi, & Itakura, 2012; Okanda, Kanda, Ishiguro, & Itakura, 2013),4歳ごろから見知らぬ対面の大人にのみ肯定バイアスを示すようになる。4歳以上の幼児は,質問者の属性や質問の内容によって「はい」か「いいえ」を使い分けているのかもしれない。本研究では5歳児は,ロボットのネガティブな事項に関する質問に「いいえ」と答えた。したがって,5歳児はロボットに気を使った可能性が示唆された。