主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究の目的は,援助者と被援助者双方の視点から「他者へ助けを求めない若者(以下,非援助要請者)」を捉え,支援方法を検討することである。中学教員14名(男性8名,女性6名),悩みを他者に明かさなかった経験を持つ中学生12名(男性4名,女性8名)および20-30代の若者16名(男性6名,女性10名)に半構造化インタビューを実施した。教員には,援助を要すると判断したきっかけからエピソードの帰結までを,中学生と若者には,悩みの内容と援助要請しなかった理由,他者の言動に対する評価を語ってもらった。非援助要請者視点の28事例と,帰結が明確な教師視点の27事例を佐藤(2015)に倣って分析した。その結果,非援助要請者は直接的支援よりも承認的態度やモデルとなる存在等の間接的支援を有効と認識していること,また帰結が良好な事例で教師による間接的介入が共通していたことから,間接的介入の重要性が示された。さらに,当時は自覚していなかった親との軋轢に関する若者の語りが複数見られたことから,中学生のストレス認識や言語化の難しさと,問題認識が低いが故に他者に援助を求めるという発想がない者にも可能な介入を開発する必要性が示唆された。