主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
自己制御とは,目標達成に向けて自らの思考,感情,行動を調整しようとするプロセス全般のことを指す。近年,自己制御を高めるためにはどうすれば良いのかという観点から様々な研究が行われており,その中でも,自己の客観視を可能にするself-distancingという方略の有用性が指摘されている。この方略は,セルフトーク(自己への語りかけ)を非1人称の視点に立って行うことで容易に促進することができるとされる。本研究の目的は,self-distancingによる自己制御パフォーマンス向上への影響において,制御焦点が調整変数になりうるのかどうかを実験的に検討することであった。分析対象者は大学生72名であった。実験参加者は状況的に促進焦点または防止焦点を活性化されたうえで,1人称または非1人称セルフトークを行いながら自己制御課題(身体的不快に耐えてハンドグリップをできるだけ長い時間握り続ける課題)に取り組んだ。実験の結果,促進焦点条件でのみ,1人称セルフトークと非1人称セルフトークの効果に差がみられた。この結果から,self-distancingの効果において,制御焦点(促進焦点か防止焦点か)が調整変数として働く可能性が示された。