日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PP-042
会議情報

16. 教育
大学生の退学はどのように予防できるのか?(1)―大学の偏差値ごとの退学プロセスの検討―
*高田 治樹菊地 学小浜 駿
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

大学生の退学は大学にとって大きな損失となる。大学生の退学率は,大学の偏差値によって異なることが明らかにされているが,偏差値の異なる大学における退学のプロセスについては検討されていない。そのため,本研究では,偏差値区分により学生を分類し,大学への帰属意識,心理的ウェルビーイング,なまけ行動が,退学意図に影響を及ぼすモデルの検討を目的とした。なお,本研究は2019年度佐藤弘毅記念教育研究助成金を受けて行われた。

大学生1,2年生825名(M=19.37歳,SD=0.86;男性=266名,女性=599名)を対象としてWeb調査を実施した。分析では,学生が認識する所属大学の偏差値区分により調査参加者を分類し,多母集団同時分析を実施した。その結果,大学の偏差値に関わらず,大学への帰属意識は直接,退学意図を抑制した。心理的ウェルビーイングはなまけ行動を媒介し,退学意図を抑制した。また,偏差値が50以上の大学では,帰属意識は,成功体験によって促進され,失敗体験に抑制されていた。一方,偏差値が50以下の大学では,家族からのサポートが心理的ウェルビーイングを促進していた。以上の結果から偏差値ごとに異なる退学プロセスが明らかにされた。

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top