主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
人間の心のどんな側面の研究も容易ではないが,中でも意識は心の解明にとっての要でありかつ難関である。意識と同様に意味は人間理解に重要な概念の1つである。両者の共通点は,不確実な世界を生きるために人間が進化の過程で獲得してきた生物的機能である。本講演では,心理学が人間の意味処理活動をいかに捉え,その解明にどのように関わってきたのかについて,講演者が実施してきた意味をめぐる研究を交えて述べる。
意識と情動と身体とが分離できないように,意味はそれらを離れてはその意義を失う。意味は,憧れや,迷いや,悔やみや,それら一切の矛盾に立ち向かうことなく語られる時に,解き明かす意義を失う。よって,意識や意味は情動や行動を伴わない正解のない単なる心の難問ではない。本講演では,人類を脅かす感染症のパンデミック状況下にあるからこそ,「言葉を超えて意味とは何かをみんなの問題として考える意義がある」と提言する。