日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: SL-005
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招待講演
森田療法の100年―近年の広がりと他療法との接点
石山 一舟堀毛 一也
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抄録

精神科医である森田正馬(1938-1874)が神経質治療のための特殊療法として入院及び外来森田療法を開発し治療理論を確立し多くの臨床実践例の報告を始めたのは100年も前のことである。以来,同療法は森田正馬の直弟子や孫弟子にあたる多くの精神医学者を中心にメンタルヘルスや心理の専門家および教育関係者によって脈々と受け継がれて今に至っている。また,戦後徐々に海外に紹介されることが多くなり,近年では海外でも森田療法の治療理念やその根底にある東洋的な人間観に基づく心理療法,カウンセリング,社会復帰のための援助法など多岐にわたり森田療法の応用が実践されてきている。また,海外の治療的アプローチや技法や治療概念の中には森田療法との接点や共通点が見られものがあり,認知療法を基本とした治療法のいくつかは森田療法に近づいてきていると思われるものもある。このような日本内外における森田療法の適用法や応用法の拡大について述べ,西洋で開発された治療法との相違点をいくつか指摘したい。

博士号Ph.D. (ビクトリア大学 カウンセリング心理学)

ブリティッシュコロンビア大学教育学部准教授。同大学医学部精神医学科参与兼任。研究分野は,多文化間カウンセリングの指導法,対人不安の治療,異文化適応,マイノリティ差別への対応訓練法の開発。日本森田療法学会より森田正馬賞を受賞(2007年)。国際森田療法学会のプログラム委員,日本森田療法学会常任理事,同学会国際委員会事務局長。

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