日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: SS-005
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公募シンポジウム
人間,この見惚るるもの(幻覚に対する発達心理学):イマジナリー・コンパニオンからレビー小体型認知症まで
武藤 崇森口 佑介板倉 昭二北岡 明佳沼田 悠梨子
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抄録

「他人には見えないものが見える」,つまり幻覚という現象は,通常,異常なものとみなされることが多い。また,たとえ「見える」ことが許容されたとしても「何がどのように見えているのか」という知覚内容が重要視される。さらに,「なぜ見えるようになるのか」という機序についても脳機能の機能不全に還元されがちである。

しかし,近年の研究知見では,幻覚は,人間の「多様性(diversity)の証左である」と捉えられるようになった(たとえば,幼児期に見られるイマジナリー・コンパニオンなど)。また,レビー小体型認知症における幻覚を訴える行動の生起頻度が,心理・社会的要因によって大きく影響を受ける(つまり,幻覚の生起が脳機能の不全に還元できない)という事例も報告されている。そこで,本シンポジウムでは,幻覚という現象に対して,研究領域横断的に再検証し,人間の新たな側面と可能性を探究することを目的とする。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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