日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: SS-006
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公募シンポジウム
魔術的思考の発達から伝統的発達観を問い直す
外山 紀子中島 伸子富田 昌平加藤 義信
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抄録

病因を過去の悪行に帰属させる内在的正義や想像世界を現実とみなすこと等は,自然科学的事実を逸脱していることから魔術的思考と呼ばれる。伝統的な発達観にしたがえば,魔術的思考は認知能力が十分に発達していない子ども(幼児)の特徴であり,加齢とともにより分析的で論理的な思考に置き換えられるとされる(置き換えモデル)。しかし近年,置き換えモデルに対する疑義も呈されている。実際,多くの文化の多くの大人が時として魔術的思考に関与することが報告されている。たとえば,前述の内在的正義は児童期の子どもより大人において顕著に認められる場合がある。その結果,内在的正義への関与は発達的にはU字型曲線を描くことになる。これらは伝統的な発達観に再考を迫るものとなっている。本シンポジウムでは,病気(外山),痛み(中島),想像と現実(富田)に関する魔術的思考の発達を糸口として,置き換えモデルに代わる発達モデルを考える。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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