主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
病因を過去の悪行に帰属させる内在的正義や想像世界を現実とみなすこと等は,自然科学的事実を逸脱していることから魔術的思考と呼ばれる。伝統的な発達観にしたがえば,魔術的思考は認知能力が十分に発達していない子ども(幼児)の特徴であり,加齢とともにより分析的で論理的な思考に置き換えられるとされる(置き換えモデル)。しかし近年,置き換えモデルに対する疑義も呈されている。実際,多くの文化の多くの大人が時として魔術的思考に関与することが報告されている。たとえば,前述の内在的正義は児童期の子どもより大人において顕著に認められる場合がある。その結果,内在的正義への関与は発達的にはU字型曲線を描くことになる。これらは伝統的な発達観に再考を迫るものとなっている。本シンポジウムでは,病気(外山),痛み(中島),想像と現実(富田)に関する魔術的思考の発達を糸口として,置き換えモデルに代わる発達モデルを考える。