主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
Nostalgiaは,代表的な混合感情の1つとして近年様々な検討が行われている。その理由の1つは,nostalgiaが幅広く心理的適応へ寄与するからである。nostalgiaは多くの年代で経験されるものであり,高齢者において特に経験されやすいものとして認識されているが,青年期の個人においても頻繁に経験されることが分かっている。これは,nostalgiaが青年期における自己形成に関わるからであると考えられる。しかし,nostalgiaが青年期における自己形成へどのように影響するかについて,実際に検討を行った研究は少ない。そこで本講演では,nostalgiaが持つ影響の中でも特に「自己」への影響に焦点を当て,先行研究のレビューを行うと共に,著者が行った研究を紹介していく。「自己」に関する具体的な指標として本講演では,「自尊感情」,「本来性」,「自己連続性」,「アイデンティティ形成」に着目する。本講演で扱う内容は,1つの感情としてのnostalgiaの機能の詳細を明らかにするものとともに,青年期におけるnostalgia体験の重要性を提言するものであるともいえるだろう。