日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: L-012
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小講演
うつ・不安に対するマインドフルネスの作用機序:予測符号化モデルによる統一的理解の試み
高橋 徹熊野 宏昭
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抄録

うつ・不安に対するマインドフルネスの有効性が示されているが,その作用機序の統一的な理解はなされていない。演者はこれまで,思考や感情に反応しないスキルが,マインドフルネスによるうつ・不安両方の改善を説明することを明らかにしてきた(Takahashi et al., 2019)。さらに,雑念の有無を推定する脳波の機械学習モデルを用いて,瞑想中に雑念から素早く呼吸に戻れることが,反応しないスキルの基盤にある可能性を見出してきた。これらの知見を,世界に関する内部モデルと現実の差異を最小化するという原理で,知覚や行動を説明できるとする予測符号化モデルの観点から解釈する。そして,脳はベイズ推定によって外界を推定しているという仮定に基づき,現在の感覚入力に重みづけ(感覚入力の精度が高い),過去の経験から形成される予測に重みづけない(事前分布の精度が低い)状態として,マインドフルネスを再定義することを提案する。

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