主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
個人が職業人として成熟するための方策として,自身のキャリアに対するリフレクションの重要性が注目されてきた。これを促進する要因として従来では,キャリアカウンセリングやメンタリングなど,専門職および身近な他者との関わりに焦点が当てられてきた。一方で,職場外の対人関係や交流頻度の少ない間柄にある他者との交流がもたらす効果に着目した検討は乏しい。講演者は,弱い紐帯との交流がキャリア・リフレクションに及ぼす影響に着目し,対面およびSNSを通した交流が,自身のキャリアに対する肯定的な視点からの再評価を促進する可能性について一連の実証的研究を行ってきた。小講演では,その研究成果について(1)キャリア・リフレクションは主として4つの側面から構成されること,(2)キャリア・リフレクションにより,現職に対するワーク・エンゲイジメントの向上にもつながること,(3)交流頻度の少ない間柄である弱い紐帯との交流は,キャリア・リフレクションを促進する効果を持つことが横断的・縦断的調査のいずれからも示されたこと,(4)その効果は対面での交流のみならずSNSを介した交流からも示されたこと,の4点から紹介する予定である。