主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
転機はある人のキャリアにとって重要な意味を持つ,特定のきっかけや経験の結びつきを指す。本研究では,①著者の転機において得られたキャリア支援経験を記述的に理解すること,②教員志望学生の転機におけるキャリア支援についての示唆を得ることを目的とし,オートエスノグラフィー(AE)研究を行った。AEとは研究者が「有する文化」を探究するための研究アプローチである。序論では転機研究の展開,AEの方法論的志向,心理学(特に文化心理学)とAEとの接点について検討した。これらのレビューを踏まえて,研究者が持つ独自の観点を分析的に深め,自己の経験を他者の経験にも転用可能なものとしていくために,異なる理論・方法論的視座を持つ3つの質的研究法を用いた実践研究を構成した。具体的には,複線径路等至性モデリング,インタビュー,TAEステップを用いたAEを行った。最後に,本研究における理論的・実践的知見を統合し,学生の「能動的・社会関心駆動型」のキャリア選択を促すための「転機を促すキャリア支援」モデルを構築・提案した。