日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-003
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1.原理・方法
認知的熟慮性が逆転項目の反応バイアスに及ぼす影響ローゼンバーグ自尊感情尺度を用いた検討
*福留 広大武田 知也
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抄録

逆転項目は回答者の慣れを防ぎ調査への積極的な関与を促す方法とされる。しかし,逆転項目は反応バイアス,すなわち研究者が意図しない回答者の特定の傾向を測定する要因となる。なぜなら逆転項目であることを理解し意味を考慮した上で回答するかは回答者に委ねられており,そこに個人差による説明が想定されるためである。本研究は個人の思考傾向である認知的熟慮性が逆転項目による反応バイアスに影響を与えるか検討した。大学生192名が自尊感情尺度(Rosenberg, 1965;山本ら,1982),認知的熟慮性検査(CRT;Frederick, 2005;原田ら,2018)に回答した。分析はCRTの高群と低群について自尊感情尺度の1因子モデル及び2因子モデル(逆転項目,順項目)の確認的因子分析,多母集団同時解析(高群,低群)を行った。その結果,自尊感情尺度はCRTの正答数によらず2因子モデルの適合度が高く,因子間相関はCRTの正答数で有意に異なっていた(低群 r=.613;高群 r=.851)。認知的熟慮性の高さは逆転項目による反応バイアスを低減する可能性,また,個人の自己評価に関与している可能性が示唆された。

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