日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-011
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2.人格
特性的に完全主義を持つ者と状態によって変化する者では認知バイアスが異なる解釈バイアス・記憶バイアス課題を用いた検討
*鈴木 杏依子倉重 乾田中 恒彦
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抄録

鈴木・倉重・田中(2020)では,完全主義傾向には文脈依存的な者とそうでない者がいることが明らかになった。そこで,完全主義傾向が文脈依存的に変動する者としない者において認知処理特性に違いがあるかについて検討した。【方法】学生46名(男性12名,女性34名)を対象に記憶再認課題と解釈バイアス課題を実施した。記憶再認課題は,Besser et al.(2008)が実施した課題を翻訳し,単語の選択等一部を修正して使用した。解釈バイアス課題は,Yiend et al.(2011)が実施した課題を翻訳し,完全主義部分を使用した。【結果】認知バイアス課題得点を説明変数,鈴木他(2020)の研究での分類に基づく完全主義のタイプを目的変数として重回帰分析を行った。結果,記憶再認課題得点と完全主義のタイプとの関連は確認できなかった。一方,解釈バイアス課題では完全主義尺度(大谷・桜井,1995)の自己志向的完全主義(SOP, △ R2=.36)と社会規定的完全主義(△ R2=.22),総合得点(△ R2=.22)において,二分法的な解釈を反映する文が完全主義のタイプに有意に影響を及ぼすことが明らかになった。

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