日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-012
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2.人格
自己認知の複雑性と思考内容の感情価との関連
*吉田 みなみ二村 友希金城 光森本 浩志
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抄録

本研究では,自己認知の複雑性(自己複雑性,self-complexity:SC)と思考内容の感情価との関連について,大学生44名のデータを用いて検討した。自己認知の複雑性については,自己意識検査(林・堀内,1997)を用いて指標Hと肯定的自己認知の複雑性(P-SC),否定的自己認知の複雑性(N-SC)の3指標を算出した。思考内容の感情価については,まず「あなたが考えるアルバイトとは何か」とのテーマについて自由記述で回答を求めた。そして,2名の評価者が,得られた記述内容の感情価を,江崎他(2013)の3種類の感情極性(ポジティブ:喜・好・安,ネガティブ:哀・怒・恐・厭,ニュートラル:驚)に基づいて分類した。いずれにも分類されない記述は「感情価なし」とした。そして,各調査対象者の各感情価(ポジティブ,ネガティブ,ニュートラル,感情価なし)の記述の個数をカウントした。相関分析の結果,自己認知の複雑性の3指標(H,P-SC,N-SC)と得点と,4種類の感情価の個数との間に有意な相関は見られなかった。この結果から,自己認知の複雑性と思考内容の感情価との間には関連が見られないことが示唆された。

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