日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-015
会議情報

2.人格
自己連続性の機能に対する自己連続性の捉え方の調整効果の検討精神的健康,自己形成との関連
*浅山 慧外山 美樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

自己連続性は,自己が経時的に同一の存在としてつながっているという感覚を意味する概念である。自己連続性には,自己の安定性と物語性という2つの観点による捉え方があるが,捉え方によって自己連続性の機能がどのように異なるかはまだ明らかになっていない。そこで本研究では,自己連続性と他の変数(精神的健康,自己形成)との関連が,自己連続性の捉え方によってどのように異なるのかを検討することを目的とした。大学生200名を対象にweb調査を実施し,精神的健康(人生満足度,不安・抑うつ)と自己形成(自己概念の明確性,過去受容,継時的比較志向性)を従属変数とし,自己連続性(High,Low)とその捉え方(安定性,物語性)の交互作用を検討した。その結果,不安・抑うつを従属変数とした場合に交互作用に一定の効果が認められた。具体的には,自己連続性を自己の物語性の観点から捉えた場合には不安・抑うつとの間に負の関連が示されたが,自己の安定性の観点から捉えた場合には関連が見られなかった。この結果から,自己連続性の機能は,自己の安定性と物語性のどちらに基づくものかで異なることが示唆された。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top