日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-016
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2.人格
遅延価値割引とストレスコーピングとの関連
*松本 明生
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抄録

Fields et al.(2015)は遅延価値割引の激しい者はストレス経験をした際,ストレスを軽減するための衝動的な対処行動(コーピング)が出現しやすくなると述べている。本研究では,遅延価値割引とコーピングとの関連について検討することを目的とした。調査対象者の大学生129名のうち,データに欠損のない男性64名(M=18.7歳,SD=1.6),女性55名(M=18.4歳,SD=0.6)が分析の対象となった。遅延価値割引の測定には簡易版の遅延価値割引質問紙(佐伯,2017)を用い,上昇系列と下降系列で配置した用紙が半数ずつになるよう配布した。コーピングの測定には神村他(1995)が作成したTAC-24を用いた。スピアマンの順位相関係数を遅延価値割引質問紙から算出されたk値とTAC-24の8下位尺度との間に求めたところ,k値はカタルシス(ρ=-.19)と情報収集(ρ=-.18),計画立案(ρ=-.23)の3尺度との間に有意な負の相関が認められた(すべてp<.05)。これらの結果からは,遅延価値割引が激しい者は直面する問題に接近しようとするコーピングの選択が少なくなることが示唆された。

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