日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-017
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2.人格
完全主義がセルフ・ハンディキャッピングに及ぼす影響における完全主義的自己呈示の媒介効果
*片岡 春奈福井 義一
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抄録

完全主義はセルフ・ハンディキャッピング(SH)に直接的に影響を及ぼすことが報告されている(Aker et al., 2018)が,その背後には自己呈示欲求が関与している可能性があると思われる。完全主義と完全主義的自己呈示の全下位尺度間および後者の全下位尺度とSHとの間にそれぞれ有意な相関がある(Hewitt et al., 2003)ことから,本研究では完全主義がSHに及ぼす影響における完全主義的自己呈示の媒介効果を検討した。大学生を対象に質問票調査を行った。データには,一連の研究(例,片岡・福井,2019)と一部重複がある。分析の結果,自己志向的完全主義からSHの「やらない」因子へは負の,社会規定的完全主義からSHの「やれない」因子へは正の直接効果がそれぞれ有意であったのに加えて,完全主義的自己呈示の不適応的側面(「不完全性の露見への忌避」や「不完全性の秘匿」)を介した間接効果が見られた。ブートストラップ法(標本数5000)の結果,いずれの間接効果も有意であった。本研究から,完全主義がSHに及ぼす影響は,完全主義的自己呈示の不適応的側面によって部分媒介されることがわかった。

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