主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究の目的はナルシシズムとストレスコーピングとの関連を検討することである。日本語版Five-Factor Narcissism InventoryとGeneral Coping Questionnaireを用いて,東京にある大学に在籍する大学生210名に対して質問紙調査を実施した。重回帰分析を行った結果,FFNI-SF-JにおけるLack-of-Empathy, Reactive-AngerとThrill-Seekingといった3つの因子はGCQにおける感情表出の間,Acclaim-Seekingと情緒的サポート希求の間,Arroganceと認知的再解釈の間,Acclaim-SeekingとManipulativenessといった2因子と問題解決の間,それぞれ有意な正の相関が見られた。これらの結果から,同情心に欠ける,スリルを楽しむ,あるいは反応的怒りが激しいナルシシストは情動焦点型対処を,傲慢で,他人を自分の思い通りに操るナルシシストは問題焦点型対処をとりがちであると考えられる。また,賞賛獲得欲求が強いナルシシストは問題焦点型と情動焦点型対処の両方を使うことがわかった。