日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PB-020
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2.人格
認知的感情制御と精神的健康の関連感覚処理感受性の個人差を踏まえた検討
*矢野 康介大石 和男
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抄録

感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity;以下,SPSと略記)とは,種々の環境刺激に対する敏感さ,反応性を表す生得的な特性である。統計的手法を用いた研究から,個々人をSPS低群・中群・高群の3群に分類する試みが行われている。個人の発達や健康を予測する要因は,各群において異なることが示唆されているものの,基礎的知見の蓄積は十分とは言えないのが現状である。本研究では,状況や出来事の意味への認知的な変化による感情調整を表す概念である,認知的感情制御に注目し,各群における精神的健康との関連を検討することを目的とした。本研究では,大学生532名が2時点の縦断調査に参加し(3ヶ月間隔),①SPSの測定尺度であるHSP-J10,②認知的感情制御の測定尺度であるCERQ,③精神的健康の測定尺度であるK10に回答した。なお,①②は1時点目の調査においてのみ使用された。K10における時点間の潜在差得点を算出し,CERQの各下位尺度との関連を,SPSの程度に基づく群ごとに検討した。その結果,SPS高群においてのみ,肯定的再評価が精神的健康の低下と関連することが示唆された。

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