日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-014
会議情報

3.社会・文化
高齢者は「高齢者」や「若者」をどう捉えているのか
*清水 佑輔竹内 真純唐沢 かおり
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

高齢者が,高齢者および若者に対して保持する態度および,それに影響を及ぼす要因について,包括的に検討されてこなかった。本研究では,社会的アイデンティティ理論に基づき,自分が高齢者よりも若く,高齢者と若者の中間である「中年」に所属していると感じる程度である中年アイデンティティ,および年相応の「高齢者」に所属していると感じる程度である高齢者アイデンティティに着目した。日本人高齢者を対象にオンライン調査を実施した(N=301)。参加者の年齢が中年/高齢者アイデンティティを予測し,中年/高齢者アイデンティティが,それぞれ高齢者/若者への態度を予測するというモデルについて,ベイズ的共分散構造分析を用いて検討した。その結果,中年アイデンティティは高齢者および若者への肯定的態度と正の関係を持ったが,高齢者アイデンティティは,いずれに対しても顕著な効果を持たなかった。また,参加者の年齢は,中年アイデンティティに対して顕著な効果を持たなかった一方,高齢者アイデンティティと正の関係を持った。本研究の知見は,実年齢よりも若い世代にアイデンティティを帰属させることを目指す実践的介入等に応用できると考えられる。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top