日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-013
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3.社会・文化
コロナ禍における対人関係意図とその規定因:コロナ観と親和願望に着目して
*竹橋 洋毅田中 里奈安藤 香織梅垣 佑介
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抄録

新型コロナウイルス感染症は人のつながりを阻害しているように思われるが,対人関係の構築・維持・縮小について検討した研究は報告されていない。本研究では,コロナ禍における対人関係意図の規定因として,対人的な動機づけである親和願望とコロナ禍の終息についての信念であるコロナ観を想定した。コロナ観としては,コロナ禍の終息を信じるアフターコロナ観と,コロナ禍の継続を信じるウィズコロナ観の二つを想定した。本研究では,二度の縦断的なインターネット調査を実施し,最終的に1257人のデータを分析対象とした(うち男性615名。年齢の平均は45.5歳,SDは13.6)。その結果,親和願望は身近な人々との密接な関係,人々との交流の我慢と正に相関し,関係縮小と負に相関した。アフターコロナ観は密な関係と正に関係し,ウィズコロナ観は交流我慢と正に相関した。縦断データの分析から,コロナ観と対人関係意図の間には相互に強化しあうという長期的な影響がみられた。このような信念と行動の相互強化過程は,近年の信念の働きに関する先行研究の知見と一致する。最後に,これらの知見がもたらす基礎的および理論的な示唆について議論した。

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