日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-019
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3.社会・文化
集団間関係における理解知覚の効果共存環境と分断環境の比較
*井奥 智大綿村 英一郎
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抄録

理解知覚とは,「他者が自己を理解してくれている」というメタ知覚を指し,集団間関係にポジティブな効果をもたらすと報告されている。これまでの研究は,内外集団が一つの政治構造に共存する場合を対象としていたが,別々の政治構造にいる集団間においても理解知覚の効果が見られるかどうかは検証されていない。そこで本研究では,集団間関係における理解知覚の効果を共存環境と分断環境で比較した。共存環境としては日本人と在日中国人の関係,分断環境としては日本人と中国に住む中国人の関係を調べた。日本人536名を対象にオンライン調査を実施した結果,どちらの環境においても理解知覚の効果があり,外集団が理解してくれていると認知しているほど外集団への好意が高く,ポジティブな関係を持ちたいと考える傾向が強かった。なお,この効果はデモグラフィック特性や集団間接触を統制しても認められた。分断環境にいる集団間でも理解知覚の効果があるということが本研究で明らかになったことにより,文化や政治経済が異なる集団同士でも互いに対しての認識がその関係性に重要な役割を果たすとの可能性が示唆された。

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